エリプソメトリーと分光反射率法との比較
エリプソメトリーと分光反射率法はどちらも反射光を解析することで、誘電体や半導体、または薄い金属膜の膜厚と屈折率を決定します。この二つの測定手法の主な違いは、エリプソメトリーはある角度で膜に入射した光の反射光を測定し、反射率分光法は膜に垂直に入射した光の反射光を測定します。
薄膜測定原理ガイドをリクエストするこの入射光角度の違いは、これらの測定手法を使用したシステムの価格、複雑さ、能力に影響します。エリプソメトリーの光はある角度で入射し、その反射光の偏光と強さを解析するため、非常に薄い膜や複雑な多層膜を測定できる能力を持ちます。しかしその偏光の解析には高価な精密光学部品が必要とされます。
分光反射率法では入射光が膜に垂直であることから、偏光の影響(多くの膜は回転対称のため)を無視することができます。また可動部品も必要ないため、より簡易的で低価格な測定システムとなります。より強固な解析に必要な透過光分析も、分光反射率法システムでは容易に行えます。
下記の表に示すように、10μmを超える膜厚測定には分光反射率法の方が使用され、エリプソメトリーは10nmよりも薄い膜厚の測定によく用いられます。この10nmから10μmの膜厚範囲では、多くの用途で両方の手法が使用されています。その場合、測定スピード、簡便さ、低価格などの理由から、分光反射率法が主に用いられています。
分光反射率法 | エリプソメトリー | |
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膜厚測定範囲 | 1nm - 1mm (非金属) 0.5nm - 50nm (金属)* |
0.1nm - 0.01mm (非金属) 0.1nm - 50nm (金属) |
屈折率測定に必要な膜厚 | 20nm以上 (非金属) 5nm - 50nm (金属) |
5nm以上 (非金属) 0.5nm以上 (金属) |
測定スピード | 一箇所につき約0.1~5秒 | 1箇所につき約1~300秒 |
特別トレーニング | 不要 | ほとんどのアプリケーションに必要 |
可動部 | なし | 移動精密光学部品 |
基本システム価格 | エリプソメトリーの3分の1 | 分光反射率の3倍 |